2003年12月25日

銭湯探訪・栃木県足利市「花の湯」

hananoyu1.jpg栃木県足利市の織姫神社近くで営業している銭湯「花の湯」さん。青地に赤ののれんがいいですね。番台に座っていたおばさん(と言ってもわたしより少し上くらい)の話では昭和27年から営業なさっているとか。「花の湯」はもう半世紀以上老若男女の浮世の汗を流し続けているわけです。ここに通い続けていたひとたちにはさまざまのドラマがあったのでしょうね。


hananoyu2.jpg番台横ののれんをくぐりぬけ入湯料350円を払ってなつかしい脱衣かごが…。しかし注目すべきはこれじゃありません。写真ではよくわかりませんが奥の窓の下にあるしっかりと作り上げられた立派な戸袋です。今日の目で見るとさほど実用的な収納空間とは思えないのですが、いや、終戦から7年目ですが当時の匠たちにはものの要・不要を問わずに、粋な空間をこしらえる「ゆとりある心」がきっとまだあったのです。


hananoyu3.jpg天井の格子に注目してください。今や名のあるお寺や神社くらいでしか見られません。吊り下げられた扇風機が優雅にゆっくりと風をおくっています。


hananoyu4.jpg男湯の湯船の絵は定番の「富士山」ですが、手前に島々を配置するなどとして現実には存在しない風景に仕上げています。絵のよごれぐあいに時の流れが感じられいい渋さを醸し出しています。下の湯船の岩からはお湯がこんこんと流れ出ていました。ふつうは小さな湯船のほうが熱いものですが、この「花の湯」さんでは大きい湯船のほうが熱かったです。



hananoyu5.jpgレトロな丸い鏡。壁の絵は「天橋立」を連想させるけど、これも前の富士山とおなじように現実にはどこにも存在しない理想郷を描いているわけです。シャワー用の剥き出し配管も「昭和」を感じさせます。


もっと古くは湯屋の二階は座敷になっていて、そこで飲み食いをし将棋を指したり話に花を咲かせていたらしい。落語に『浮世風呂』の演題がありますが、かって銭湯は庶民の社交場だったというそんな背景があるのです。隣近所とも疎遠になった今の社交場って何だろう?インターネットかな?

ところで家の風呂と温泉しか入ったことがないという人も最近では多いのではないでしょうか?わたし自身が「花の湯」さんが何年かぶりでの銭湯体験でした。

Posted by fuqusuke at 17:58 | Comments (2)